2023/02/25 21:59


農業における「肥料」は、おもに「作物の収量を上げるため」、「おいしい作物を作るため」

に施されます。

「基(元)肥(もとごえ)」・・・植付け前に畑にまく肥料

「追肥(ついひ)」・・・栽培途中に追加でまく肥料

があります。

作物ごとに、「施肥基準」が設けられ、投入する肥料の量が示されています。

現代農業における「肥料」は作物の「原料」のようなものといえます。

原料(肥料)は、いい製品(野菜)をつくるために、必要不可欠なものという感じでしょうか。

 

が、私たちは、「土」のために肥料をいれています。

「いい土」であれば、「肥料」は要らないか、ほんの少しで済みます。

私たちが目指すのは、「作物を大量に生産する」ことではなく、

「生物多様性・植物多様性を実現し、肥料がなくても美味しく栄養がある野菜をつくる」ことです。

そのために、「肥料」を土に入れています。

 

 

【理想とする農場】

私たちの理想とする農場は、肥料や農薬の不要な「循環型の農場」です。

作物や周りに咲く花に虫が来て、ニワトリが虫を食べ、ヤギが草を食べ、その糞を微生物が分解し、微生物が畑を栄養のある土にし、その土で野菜が育ち、光合成でエネルギーを生成し、収穫が終わったら土に還り・・・というような。

 

「周りの動植物、微生物、太陽、雨、風、すべてのものが繋がって循環していく中で、ちょっと場所を借りて野菜をつくらせてもらう」

そんな農場で野菜をつくれたら、すばらしいと思っています。

 

 

【現状】

ニワトリ、ヤギなどの動物を飼うのは、今はまだハードルが高いです。

私たちが一番力を入れているのは、「土を豊かにする」ことです。

 

そのために、「肥料」にこだわっています。

私たちが使用するのは、すべて有機JAS適用の天然素材の肥料です。

 

化学肥料と違うのは、「肥料分が流出しにくい」、「微生物のエサになりやすい」点です。

その分作物にとっては、(化学肥料より)栄養が吸収しにくいといえます。

が、土にとっては、いい影響があります。

私たちは、「作物のため」ではなく、「土(や微生物)のため」に肥料を入れています。

 

ですが、天然肥料は高価です。

「ミニトマト」の一般的な指標では肥料費は、10aあたり5万円程度ですが、

私たちは、去年は肥料にはいろいろこだわった結果(カキ殻、海藻肥料などいろんなミネラル肥料を入れました)、

なんと、20万円超!でした。(もちろん赤字です…)

 

数年後の「無肥料」もしくは、「ちょっとの肥料」での野菜栽培を目指し、土へ先行投資をしています。

(ちなみに今年の肥料の金額はいろいろ入れたいのを我慢して半減する予定です)

 

 

【収量よりもおいしさを】

私たちは、もちろん昨年よりも「収量アップ≒収入アップ」を目指しますが、この冬の勉強で「気付き」を得ました。

「その土の力以上の生産量を望んでもバランスが崩れるだけ」と。

 

その畑がもっている「地力」以上の生産をするには、

その畑以上の、その作物が必要とする以上の「肥料分」が必要で、

その結果、病気や障害、虫が発生し、「農薬」が必要になる。(=慣行農業)

 

畑の土が「いきもの」の中心となり、その循環の中で育つ作物のサポートをする。

そんな「農業」が私たちの目標です。

 

とはいえ、「収量を追わない」などというカッコいいことを言うレベルではないので、土を良くし、栽培技術を磨き、「収量をアップ」しなければなりません。

 

これからの時代の農業(次世代に繋げられる農業)を目指し、私たちは日々考えながら農業をしています。

 

 

次回は、「農法」について書こうと思います。