2023/01/15 17:14


新規で始める農業は、補助金がないとできません。(親元就農、自己資金が豊富な人以外は)

 

現行、新規就農者が受け取れる補助金は、

 

農業研修時に受けられる➡①「就農準備金(年150万円×2年間)」、

営農開始後に受けられる➡②「経営開始資金(年150万円×3年間)」、

③「経営発展支援事業(最大1000万円、経営開始資金を受ける人は500万円、うち1/4は自己返済)」

があります。

 

さらに、自治体によってさまざまな上乗せの補助金があり、農業は補助金面では優遇されているように思います。

 

補助金を受け取るにあたっては、「就農計画」というものを作成する必要があり、JAや普及課(県)、農政課(市)に何度も相談しなければなりません。

基本的に「就農計画」が認定されれば、①、②は受けることができます。(私たちはゲットしました)

ですが、③は政策金融公庫の融資が前提条件なので、ちょっと難しいです。(私たちはダメでした)

私たちのこの残念な経験談が、これから経営発展支援事業の申請を考えている人の参考に少しでもなれば幸いです。ちょっと長くなります。

 

【黒川ミニマルズの場合】

当初は、相談していた金融公庫の担当者の方も「通ると思います」、「出るようにします」などと、融資する方向で話が進んでいました。

ので、トラクターを補助金で買えると思ってました。

補助金の支給決定がかなーり遅れても、じっと待っていました。

(何度聞いても「いつになるか分からない」(市)との回答。実際の申請は、市→県→国・公庫という流れ)

 

しかし、

あの昨年8月の、暑く、雨の降らない日が続いてミニトマトが弱り切っていた、そんな日に、

 

公庫の担当者が突然訪問(襲撃)!

ミニトマトを見て、いきなり、

「これは失敗ですね」と断定(モラハラ?)!!

後日、

「化学肥料を使えばどうか」、「キュウリを作ればどうか」などアドバイス(パワハラ?)!!!

さらに、

「営農計画を変更しなければ融資できない」と、アルティメイタム(最後通告)!!!!

 

私たちは、「ソバージュ栽培(露地)・有機(農薬・化学肥料不使用)でのミニトマトをあきらめ、慣行(農薬・化学肥料を使用)でのキュウリ栽培(もしくはナス)をしないと融資を受けられない」のだな、と判断しました。

 

「やりたい農業」をあきらめるよりも、

「融資(補助金)」をあきらめました...

 

 

【元公務員の推理(邪推)】(※個人的見解です)

農業をしたことのない人が、初めての農地で、初めての作物をつくる場合、「成功するかどうか」は誰もわかりません。(親元で就農する場合は除いて)

 

融資をする政策金融公庫の担当者も農業の専門家ではないので、「農業経営がうまく行くか」判断するには、地元のJAもしくは普及課(県)の「お墨付き(担保)」が必要となります。

 

「お墨付き」とは何か。

「その人が、その農地で、その作物をつくり、経営が成り立つ(返済できる)」というJAや普及課の「認定」です。

その「認定」のためには、基本的に地域で実際に経営が成り立っている農業者に倣ったことをしなければなりません。

 

結果、

公庫の担当者は「農業の専門家であるJA・普及課のアドバイスをもとに融資した」(責任転嫁)、

JA・普及課は「うまくいっている農業者と同じことができなかったのは、その人の技術・能力不足のため」(責任転嫁)

そして、新規就農者自身は「天気が良くなく、計画通りできなかった」(責任転嫁)

と最終的に、融資判断の責任は天気のせいにできます。

 

誰も傷つかず、誰も責任を取らなくてよい図が完成します。(多分)

 

私たちは、「有機(農薬・化学肥料不使用)で、ソバージュ栽培(露地)で、ミニトマトを栽培」という地域で誰もやっていないことを始めたので、「お墨付き」はもらえませんでした。(おそらく、そんな理由でしょうか)

 

残念。。。

 

 

【補助金(農業)の問題点】

融資判断はさておいて、この補助事業を含め、農業の補助金の最大の問題点は、

「補助金対象になる機械などは、支給が決定されるまで購入できない」こと、

だと思います。(特に私たちのように機械のない人には)

購入してしまったら、補助金対象にはなりません。

 

実際に私たちもトラクターを補助金で買いたかったため、補助金の支給決定までは購入を見送ってました。(資金もなかったけど)

ちなみに、経営発展支援事業の補助金の支給決定は、9月中旬でも「いつになるか分からない」(市の担当者)とのことでした。(トラクターは遅くても5月にはないと作業が進みません)

私たちのように補助金の申請をし、支給決定まで購入を待った挙句、不支給となることもあります。

 

11作の農業にとってはかなりの機会損失です。

農水省(及び県、市町村)には是非この点を改善し、購入後のものでも補助金対象になるようにしてほしいなーーーー、と機械のない私たちは強く思っています。

 

 

 

私たちが、補助金が支給されない中で、「トラクターをどうしたか」について、次回書こうと思います。