2023/01/08 17:18


親元就農(農家の後継ぎ)以外で、農家になるのは非常にハードルが高いです。

特に難しいのは、農地を手に入れることです。

農地は農業委員会の許可がないと、(当事者同士で合意があっても)「売買」、「賃借」できません。農業委員会は市の組織ですが、委員は地元の農家などで構成されています。

他所から来た人は「農業をきちんとやる」と判断されなければ、農地を手に入れることができません。(そのため就農予定地で研修をする必要があります)

なので、よく「地元の農家さんと仲良く」とよく言われました。

私たちも農地を確保するのに苦労しました。

 

 

【庄内の農地】

庄内地方に移住して、地元の農家さんに言われたことは、

「庄内の人はよそから来た人には土地はやらない」、「いい農地はすでに借り手がいるから、もうない」

でした。

市・研修受け入れ担当者の

「農地はあまるほどある」、「どこでも好きな土地を選べる」

という話とは、正反対の事実でした。

いろいろ分かったことは、

確かに、「中山間地域」の「耕作放棄地」は「あまるほど」あり、「好きな土地を」選べました。

催促しても、市の担当者から農地の紹介がなかったため、私たちは自分たちで農地を探し始めることにしました。(「それ(紹介)は研修2年目に予定している」とのことでした)

 

 

【農地の確保】

空いた時間に車で農地を放浪したり(怪しい人たちになっていました)、

衛星写真で耕作放棄地を探したり、

地元の先輩農家さんに聞いたり、

いろいろ探し回りました。

やはりなかなか条件のいい農地(耕作に向いた農地、居住地から近い農地)はありませんでした。

「農地」がなければ、「就農」できないため、かなり必死でした。

研修先からの脱出も同時に模索していたため、当時私たちは、かなり殺伐としていました。

 

そんな中、さらに同時進行でしていた住居探しで、「黒川」という中山間地域で「空き家」を見つけることができました。そして、なんと、そこには農地がついていました。

現地を確認したところ、一目でこの場所が気に入りました。

まず、農地が家の周りにあります。

家から農地が近いと、アクセス(通勤時間?)、トイレ、資材・収穫物運搬、などいいことがいっぱいあります。

そして、景色がいい。

目の前に月山、後方に鳥海山が見えます。農作業しながらいい景色が眺められます。

また、耕作放棄地ではなく、大豆を作付けして農地としてある程度保全された状態でした。

なにより、私たちの直観が「ココがいい」と告げている気がしました。

 

「農地付きの空き家」として売りに出していたため、住宅を探している人は農地がネックになってなかなか売れない物件でした。(農地も中山間地域のため借り手がなかなかいない状況でした)

農地ではなく、住宅を探してたまたま農地も見つけることができ、運が良かったと思いました。

 

地権者と合意し、「農地付き空き家」の購入が決定し、「空き家」を購入した後も、「農地」の購入にあたっては、手続きが非常に煩雑でした。窓口も1つではなく、担当者の話も二転三転し、いろいろ大変でした。

結局、農地については、「購入」ではなく、ひとまず「賃借」という形になりました。

 

 

【黒川という地域】

黒川は旧櫛引町(現在は合併して鶴岡市)にある黒川能で有名な土地です。

黒川はタヌキやキツネ、イタチなどの動物がいたり、季節ごとにいろいろな植物が見れたり、毎日空がきれいだったり。

風景の移り変わりや自然とともに生活が出来て、とても気に入っています。

冬は積雪が多く、除雪が大変ですが、雪景色もきれいです。

そして、標高が平地よりも多少高いため、昼夜の寒暖差があり、野菜が美味しく育てられます。(一般的に夜間の温度が低いと、植物の呼吸が減り、エネルギー(糖)の消費が抑えられ、甘い野菜が作れます)

 

私たちが中山間地域で農業を新たに始めることで、景観や自然を守ったり(ヒト目線で)、や野生動物と境界線を守ったり、農山村の課題解決に少しでも貢献できたらいいなと思っています。

人口減少は、私たち家族が移住してきたくらいでは、全く追いつきませんが。

移住にご興味のある方は、いつでもご連絡ください!

 

 

来週は、「農地」の次の大きなハードルである「資金(と補助金)」について、書こうと思います。