2022/12/24 10:30
私たち黒川ミニマルズも当初は、「安心・安全・美味しい野菜」をつくり、「環境にやさしい農業」をするために「有機農業」を目指していました。
しかしながら、「有機農業」をやっているにもかかわらず、カビ・病害虫だらけの圃場(安全・安心といえるのか?)や、大量に堆肥を投入し(水質・土壌汚染につながります)、環境にやさしいとはいいがたい農業をしている現場を見て、「有機農業」=「安心・安全・美味しい・環境にやさしい」ではないことを身をもって知りました。
それでも、私たちは「有機農業」をすることに決めました。
なぜか。
それにはいくつかの理由があります。
【アカウンタビリティ】
私たちは、一般的な企業と同じように、農業者にもその生産物(野菜)に対して、説明責任があると思っています。
その野菜が、どのような品種で、どのような場所で、どのような肥料を使い、どのような防除(病害虫予防)をして、どのように栽培されたか、きちんと説明できないといけないと考えています。
(農産物に対しては、「トレーサビリティ」(追跡可能なこと)が言われていますが、私たちは自分たちのつくった野菜に対して、農家は「説明できる」べきだと思っています。)
農薬については、現在使用されているものは安全であることは疑いがないと思っていますが、その農薬が「どのような成分か」、「どのように製造されているか」、「土や植物、微生物、昆虫、動物にどのような影響があるか」、「長期間使用・摂取することでどのような影響があるか」、私たちには分からないので、説明できません。
化学肥料も、同じように説明できないので使用しません。
私たちが防除に使用する資材は、乳酸菌や酵母、納豆菌を培養したもの、酢など自分たちの口にそのまま入っても問題ないもの、自分たちに理解可能なものを使用しています。
同じく肥料も、有機JAS適用の天然肥料で、「北陸で採れた貝の化石を粉末にしたミネラル肥料」のような、説明・理解できるものを使用しています。
【たのしい農業】
有機農業は楽しいです。
なぜか。
「自分たちの理解できる農業をする」ということは、「自分で考えて農業をする」ということにつながるからです。
農薬・化学肥料を使わない農業は、JA・普及課などの指導が入らないため、自由な農業ができるようになります。
通常、JAでは地域・作物ごとに栽培ごよみなどがあり、各生産者がそのスケジュール通りに、同じ品種を、同じ施肥(化学肥料)で、同じ防除(農薬)で栽培して、定期的に指導員が指導に来て、その指示に従って野菜を栽培します。
私たちは、「脱サラまでしてそんな農業をするのは(JAのシステムに組み込まれるのは)つまらない」、「自分が好きなように農業をしたい」と啖呵を切っていました。(心の中で)
今もまだ切っている最中です。
考える農業をするには、私たちにとって「有機」がぴったりでした。
自分の手の届く範囲で、自分の考えで、様々な工夫が出来ます。おもしろいですよ、これが。
【宗教性】
私たちは、有機農業はその土地に適した、きちんとしたやり方をすれば、環境にやさしく、安全・安心な美味しい野菜をつくることが出来る手段の1つだと思っています。
土や周辺の環境を良くし、生態系を守り、美味しく栄養のある野菜をつくるために、私たちは有機農業に取り組んでいます。
あまり言うと宗教っぽくなりますが。
有機農業はいろいろな団体、方法があるので、有機に取り組んでいる私たちからしてみても宗教の宗派のようなところがあります。
(私が一番面白いと思ったのは、月の満ち欠けを基に栽培をする有機農業です)
(有機農業=宗教ではないです。念のため。タブー?)
ちなみに私たちはどこの団体にも所属していませんが、いろいろな団体の栽培方法を参考にさせていただいています。
いろいろな考えがあって面白いです。
【有機農業について】
「有機農業」、「有機栽培」、「オーガニック」、「無農薬」などを農作物に明示するには、その圃場で農薬と化学肥料を使わずに3年間経過し、有機JAS認証をとらなければなりません。
なので、私たちは「栽培期間中、農薬・化学肥料不使用」と言っています。
「農薬・化学肥料を使わない農業」として「有機農業」という言葉をちょいちょい使っていますが、ちゃんと理解しています。(もちろん商品には使ってません)
ちなみに、
就農(農業を始める)前に「有機農業をしたい」と言うと、
必ずといっていいほど、「最初は慣行(農薬・化学肥料を使って)でやって、上手くできたら有機に取り組めばいい」と言われました。
が、有機農業をすることは、(私たちにとって)美味しい野菜をつくるための「手段」であって、「目的」ではありません。
目的ではないので、今のところ有機JAS認証を取得する予定はありません。
(結構なお金もかかりますし、取れても2年後なので)
有機農業を(有機JAS認証を取得)している農家の方からしてみれば、中途半端な農家かもしれませんが、それぞれの「有機農業」があっていいと思っています。
私たちの「有機農業」で今年、自分たちが美味しいと思えるミニトマトをつくることが出来ました。
1年目だったので、大変な土でしたが、なんとか頑張りました。
来年はもっと美味しくなるように勉強中です。
品種も増やそうと思っています。
次は、「農業における脱プラスチック」について書きたいと思います。