2022/12/17 21:32


「ソバージュ栽培」とは、通常ビニールハウスで整枝、誘引、摘果、摘葉など管理に手のかかるミニトマト栽培を、露地で、あまり手をかけずに「野生的(ソバージュ)」に育てる新しい栽培方法です。

試験場でミニトマトの管理を放置してしまった研修生とその放置されたミニトマトの旺盛な様子に可能性を感じたパイオニアエコサイエンス()によって生み出されました。

 

【ソバージュとの出会い】

私たちがソバージュ栽培と出会ったのは、まったくの偶然でした。

とあるすごいミニトマト農家さんの視察に伺った時(すごく勉強になりました)に栽培していた珍しい品種が気になり、カタログを資料請求しました。

そのカタログに載っていた「ソバージュ栽培」について興味を抱き、問い合わせをしたところ、秋田県で栽培の様子を見せてもらえることになりました。

実際に見た結果、「これだ!」となったわけです。 


Mさんとの出会い】

パイオニアエコサイエンスのMさんがいい人だったこともソバージュ栽培をすることに決めた大きな理由です。

私たちは当時出口の見えない状況で、全然余裕がありませんでした。(前回ブログ参照)

「この人たち大丈夫かな?」と思われたのか、初めて会ったにもかかわらず、ランチをごちそうになり、悩みを聞いていただき、ためになるアドバイスを沢山いただきました。

さらに、その場で地域のリーダー的な農家さんと繋いでいただき、視察行かせていただきました。

Mさんには農家さんを紹介いただいたり、研修を案内いただいたり、ためになる情報をいただいたり、土壌診断をしていただいたり、何度も様子を見に来ていただいたり、いまだにお世話になっています。

私たちはいろいろもがいた結果、いい人と出会うことが出来ました。

Mさんも。

急に勉強のため視察したいと連絡してきた怪しげな2人組の私たちを快く受け入れてくださったすごい農家の方々も。

何度も資料を送ってくれたり、視察の対応をしてくれた秋田県のソバージュ栽培の試験場の研修生も。

丁寧に対応いただいた2年目の研修先の職員の方々も。

何度も相談に乗ってくれたり、アルバイトとして雇ってくれた地元の先輩農家さんも。

 

【ソバージュ栽培の主なメリット】

ソバージュ栽培をやるメリットはまず、コストの面があげられます。

一般的なビニールハウスでも、1棟建てるのに約200万円かかります。(自治体などから半額ていど補助が出る場合が多いですが)加えて、潅水設備の工事も必要になります。

ソバージュ栽培の設備(アーチ)は約30万円弱で作ることが出来ます。(自分たちで設置し、雪が降る前に撤去しなければなりませんが)

ソバージュ栽培は、脇芽をのばして栽培する方法ですので、苗の購入代金も通常の半分以下となります。(収量は変わりません)

次に、栽培管理の面です。

ソバージュ栽培は脇芽をのばして、誘引もあまりしない栽培方法なので、ミニトマト栽培で大変な整枝・誘引作業が軽減されます。

(私たちは今年、管理作業にかなり手をかけてしまいましたが...)

病気も、露地での栽培なので、風があったり、湿度が高くなったりしないため、カビの発生がほとんどなく、ハウス栽培よりも少ないです。

そして、うまく栽培できたミニトマトのアーチは、美しく、景観がいいです。私たちが感動したホップ畑を彷彿とさせました。

(私たちのアーチは台風で倒れてしまいました...来年は補強します!)

 

【ソバージュ栽培の主なデメリット】

一番のデメリットは裂果(ミニトマトの実が割れること)が多いことです。

(覚悟していましたが、裂果は結構しんどいです。精神的にも)

裂果は、実に雨が当たったり、土壌の水分量の急激な変化だったり、気温の変化だったり、いろいろな原因があり、対策が難しい現象の1つです。

収量も、一般的なハウスでの栽培より少ないです。

潅水を雨に頼るため、どうしても成長が遅くなったり、気温もハウスより低く、栽培期間が短くなったりするため、収量が少なくなってしまいます。

害虫も露地のため、ハウスでは被害のない虫が発生します。(オオタバコガが代表的です。実を食べられてしまいます)

 

【黒川ミニマルズのミニマム農業】

いろいろ勉強・検討している中で、ミニトマトのソバージュ栽培は、私たちの目指している農業と非常にマッチしていると感じました。

農地もなく、機械もなく、設備もない、全くの新規参入の私たちは自分たちにしかできない農業をしなければいけないと感じていました。

環境にやさしい農業を志向し、資金が潤沢ではない私たちは、ビニールハウスを使わずに、露地で、雨による潅水で、風や昆虫の力を借りながら自然の中で栽培するミニトマトに、テクノロジーを駆使した農業とは違う新しい可能性を感じました。

別の言い方をすれば、一般的なビニールハウスを使った既存のミニトマト栽培を今から始めたのでは、サラダボウルさんのような環境制御型の大規模で革新的な農業(ミニトマト栽培)をしている経営体にすぐに淘汰されると感じていました。

そして、山形ではソバージュ栽培をしている農家はほとんどいないため、チャンスがあると感じました。

なにより、普通ではない栽培方法はなんか面白そうでワクワクしました。

実際に試食させてもらったミニトマトが美味しかったのもソバージュ栽培をすることに決めた大きな理由です。



農業の研修をこなしながら(年間1200時間程度の研修が義務付けられています)、私たちはソバージュ栽培の勉強をして、爪を研いでいました。

私たちの農業を始めるために、研修とは別に有機農業の勉強もしていました。

 


次回は、黒川ミニマルズの「有機農業について」書こうと思っています。